今日では製造業に留まらず、すべてのビジネスで効率化を求める。当然、テクノロジーの活用も活発化しており、特にデジタル領域の発展は際立っている。高度な情報インフラを活用し、効率化と品質を大きく向上させたビジネススタイルがあたりまえとなってきた。しかし社会が企業に求めるのは効率と利益の追求だけではない。法令遵守、内部統制、働き方など多項の課題への取り組みがあって然るべきとされ、現代のビジネスにおける効率化とはこれらの担保も含めた概念となっているのではないだろうか。製品の大量生産、高度な情報インフラを整備といった局地的な視点で満足している企業があるなら、時代の求める効率化を見誤っているといえよう。
企業組織において、業務の要所や出納などに一定のフローを設けることは商習慣以上の効力を有してはいるが、現代のビジネスが求める効率化の足かせとなっている。近年ではワークフローシステムを導入して早々に効率化を果たす組織もあるが、未だ紙ベースの承認作業を踏襲する企業も少なくはない。FAXが電子メールに取って代わられたようにすんなりとはデジタルシフトはなされていないのが現状だ。未導入の国内企業の多くは、複雑で数も多い自社の承認項目に対してワークフローシステムが適応できるのか、導入期間が長期に渡らないか、社員全体のITスキルなどを理由に二の足を踏む。本書「ワークフロー導入事例集」では、導入社の事実に基づきワークフローの効果や、企業の悩みごとの解決事例を収録する。ワークフローシステムは思う以上に導入障壁が低いばかりか、社員への負荷軽減はもとより、承認プロセスの可視化や記録保全による法令遵守・内部統制の強化が図れるツールとなっている。