今日、ネットでの買い物はBtoC/BtoB問わず、日常的な購買スタイルとして定着している。ユーザーがあらゆる物をネット上で閲覧し購入まで完結できるように、販売企業側も努力を惜しんではいない。たとえばテスラ社の電気自動車は、同社のサイトでしか購入することができない。

 

自動車メーカーが販売チャネルをネットのみに集中させるのは先端の例となるが、業種業界問わずネット上の売り上げが企業活動の重要点であることは明白だ。単にネット上で商品を売るのではあれば、オンラインショッピングモールに出店する道もあるが、ブランディングや親密な顧客との関係を考慮すると自社ECサイト構築・運用が選択される。実店舗とは異なり、立地も問わず、営業時間も問わず、顧客が求めるものを求めた時に購入できる安心感はリピートを生み、信頼へと昇華するだろう。しかしECサイトを有するすべての企業がこの好循環に達しているはずもなく、売り上げに伸び悩むECサイトが多数あるだろう。

 

実体の見えない顧客といかに向き合うか? 空中戦ともいえるネット上の施策が重要となってくる。多くのECサイトでは新規顧客の獲得を重視し、広告施策やSEOに注力するが、アクセス数は増えたものの売り上げが伸長しないという矛盾が生じるケースもある。顧客が“素通り”してしまう状況について、本書「サイトの売上が伸びない3つの理由」は広告施策に比べ、ECサイト内の課題認知と対策の遅れを指摘する。また後段では「課題」「解決策」「効果」と簡潔に分類し、誰もが知る3業種のECサイト改善例を収録する。「良い売り場=ECサイト」というあるべき姿にフォーカスした内容となっており、Webマスターは必読だ。“看板やチラシも重要だが売り場はもっと重要”というECサイト運営の盲点、商いの基本を強く再認識させられる一冊となっている。