消費者がオンラインに寄せる期待は年々高まっている。一般消費財では、オンラインショッピングは広く日常的に利用されている。高額な耐久消費財でも同様に検討材料にするばかりでなく、問い合わせから具体的な購入へ進む消費者行動も珍しいことではない。

 

読者諸氏もご承知の通りオンラインチャネルは、あらゆるビジネスにとって重要な位置を占めている。そのため経営資源を投入して効率的に利益に結びつく施策が多くの企業で日夜展開されている。近年では顧客体験を重視するオンライン戦略が特出しており、コンテンツのリッチ化やよりインタラクティブな要素を盛り込むことが常態化してきた。しかし、すべての施策が功を奏しているわけではない。成功への方程式が確立されていないにもかかわらずトップランナー企業は常に高い水準を維持し、消費者と利益を確実に確保している。予算の多寡か? 見せ方の違い? 成功の要因を探れば枚挙に暇がないがないが、たとえ同じ事業規模で同様の施策を実施する企業間であっても、結果には明確な差が生じることも多い。競争の激しいeコマースの分野で企業が勝ち抜く最大の源流はどこにあるのだろう?

 

本書は「リテーラーがエッジでAPIを実行してメリットを得る4つの方法」と題し、eコマース戦略の課題に切り込む。今日の消費者をオンラインショッピングに慣れ親しみ育まれた期待の多様化、多彩な体験に触れた経験値から目が肥えた状態にあると分析し、ありきたりのコンテンツでは満足させることが困難と本書は指摘する。対する企業側の課題を多様なコンテンツによるサイトのパフォーマンス低下にあり、従来のCDNでは払拭しきれないレイテンシが潜在しており機会を損失させる要因とする。具体的な施策としてエッジクラウドプラットフォームを提言し、改善ポイントと期待される効果について言及している。とかくコンテンツの改修など目立つ施策に走るケースが散見されるが、土台となるサイトのパフォーマンスについても本書をご一読いただき、いま一度点検されることをおすすめする。