企業において消費者との関係はなによりも重要だ。業種業界によって取り引きのスパンは異なれども、関係を構築し良好に保つことは永遠のテーマでもあり、おおよその企業努力もここに収斂する。選択権は常に消費者側にあり、企業は選ばれる可能性をより高めるために集団化した組織ともいえるだろう。

 

BtoBであれば消費者は所属する組織利益で動き、組織プロセスを経て選択と決定がなされる。一方、BtoCの消費者も個人の利益で動くが、必ずしも利益最優先で選択と決定がなされるわけではない。なぜなら個人は個性と嗜好によるバラエティに富み、さらにその時点での感情や感覚といった流動的な成分を多く含んでおり、体系的に捉えどころも乏しく、ビジネスを難しくする。劇的な世情の変化も手伝って、成長を続けるオンライン小売市場ではリアル以上に個人の流動性が拡大する傾向が強い。企業利益優先で頻繁すぎるゴリ推し訴求は効果が薄く、嫌われる要因にしかならなくなった。そのため、より高度にパーソナライズされた顧客体験が求められ、如何に実践するかが世界中のリテーラーが果敢に取り組む課題といえるだろう。

 

本書は、リテーラーに向けてサイトの潜在的パフォーマンスを解放する4つのポイントを提言する。本書では、消費者のオンラインショッピング体験に対する期待の高まりと行動を分析し、表示の遅いサイトやありきたりなコンテンツでは満足しない消費者の現状を掲げ、解決への前提としてスピードに着目する。施策にエッジ(エンドユーザーの近くに配置されたコンピューティングリソース)でAPIを実行するメリットを提示し、コストやコンバージョンについても言及する。CDN(コンテンツデリバーネットワーク)の拡張性以外にも拡がるエッジクラウドプラットフォームの導入効果を具体的に示す内容となっている。仮に素晴らしい品揃えを有する店舗であっても、目の前の顧客をひたすら待たせる店舗に誰も魅了を感じないだろう。オンラインショップもショップも同様にスピードが確立された上で初めて施策が実を結ぶのではないだろうか? オンライン戦略に関わるビジネスパーソンに広くご一読を推奨できる明瞭な内容となっている。