ビジネスは多くのコミュニケーションによって成立している。利益に直結する外部へのセールス活動は言うにおよばず、意図・情報を伝え、相手に理解してもらい賛同を得る一連の行為が欠かせない。ビジネス・企業活動がコミュニケーションの複合体とも言えるだろう。社外に向けた活動ではWeb上の顧客体験が注目されるように、人を介さないコミュニケーションも常態化しており、企業の手腕が問われる分野となっている。

 

一方で社内のコミュニケーションについては、メールなどのオンラインのツールが浸透しているものの、属人的なコミュニケーションが多い。報告と現状把握といった下から上への伝達はBIツールなどが正確性と省力化に貢献しているが、企業から従業員ひとりひとりへといった領域では対面とドキュメントでなされることが多いのではないだろうか。とくに伝えるだけでなく、「できる」が重要な研修、業務マニュアルは、受け手の理解・実践が企業力にも深くかかわるゆえに理解度を見極めながら対面を織り込みつつドキュメント類を充実させてきた。

 

近年の新型コロナの感染拡大をきっかけとして、業務の多くはオンライン化が急増した。前出の業務マニュアルについても在宅ワークでのアクセスを解放する施策も取られている。その結果、様々な情報に気軽にアクセスできる一方で、直接の研修や指導が少なくなり、気軽に上司や教育担当者に聞くといった機会も少なくなりつつある。そこで重要な理解・実践を補完する目的で伝わりやすい動画コンテンツを活用する企業が増えている。しかし、動画には「内容を忘れたときに、長尺の動画から見たい部分だけを探すのに苦労する」「見ながらの作業ができず、何度も巻き戻しをしている」といった使い勝手の悪さからなかなか活用が進まない。作成には撮影や編集といった多大な労力がかかっているにもかかわらずだ。本書「作って終わりにしない 動画マニュアル活用のコツ」では、導入企業が増加傾向にあるものの活用が滞りがちな動画マニュアルの実状を鑑み、実際の活用につながるポイントをガイドする。動画マニュアルのメリット/デメリットをふまえた運用環境の整備、成功事例までも展開する簡潔でわかりやすい内容となっている。