様々なシステム運用で要となるユーザー認証と判別。Webサイトやアプリ開発でも主要な検討課題のひとつだが、フルスクラッチによる開発や、専門ベンダーによるソリューション導入など、それぞれの導入メリットの間で判断に迷う場面も少なくない。しかし近年は「フェデレーションID」に代表されるように、ひとつのIDで複数の認証システムを連携させ、生産性を向上させようという動きが高まってきている。

 

ソリューション導入型の認証に注目が集まっている背景には、システム間の連携をスムーズにする目的以外にも、総合的な意味で開発コストを削減したり、セキュリティを高めたいといった要請がある。こうした認証に関する実務を担うプラットフォームがIDとアクセス管理、すなわち「IAM」(Identity and Access Management)だ。「ビジネスの中枢となるアプリケーションに集中するよりも、IDソリューションの構築およびメンテナンスに多くの時間を費やしている」なら、IAM導入を検討する価値が大いにある、と本書は指摘している。

 

ある中古車マーケットプレイスではID管理そのものをアウトソーシングし、システムとしてIAMを採用。結果的に、6人のチームで数カ月かかるという当初の見積りが大幅に短縮され、金額にして25万5000オーストラリアドルの削減に繋がったという。こうした事例も含め、IAMを巡る情勢は今、大きく変化している。ID管理の最新動向をチェックする上でも、是非ご一読いただきたい。