社会と対峙してビジネスを展開する企業は、決して後ろ向きであってはならず、後退を望む企業人は皆無といえる。しかし企業活動を積み重ねていく上で、後退とまではいかなくとも知らず知らずのうちに“停滞”が生じることは多々あるのが現実である。

 

潮流の中にあって“停滞”すれば、間違いなく競争力と企業力の減退は免れない。ビジネスとの緊密さを高めるテクノロジーと社会変化の激しい昨今において、DXや企業改革が声高に叫ばれるのも当然の成り行きといえる。多くの企業が現状に危機感を抱き、コンセプトに賛同し取り組んでいくが、すべての組織が改善を実感する成果が得られているわけではない。また改善に欠かせない効率向上と生産性向上を追求するうえで“業務プロセスの見直し”が重要になるが、いざ行動を起こすものの具体的な進め方がわからなかったり、業務現場のヒアリングを進めたものの整理がつかずに余計に混乱してしまうケースも散見される。

 

継続的な効果が出ないばかりか、見方によっては多くのリソースと時間を費やして“停滞”に陥っているともいえるだろう。ツールや改革意識を高めるだけで改善は実らず、現実的なガイドラインも築かれてはいない。そこで本書は、インプレスより発売中の書籍「プロセスマイニング 理解と実践─業務プロセス改革を進化させる最終手段」の全8章から1~2章を一部抜粋してお届けする。継続的な改善をへの施策として今日注目を集める「プロセスマイニング」だが、一方で全般的に内容についての理解は浸透していない感もある。そもそもDXや企業改革で語られる「業務プロセス」とは具体的に何を示唆しているか、今ひとつ明確でない。プロセスマイニング協会の協力のもとで刊行した本書では、企業人である著者が業務プロセス改善に苦慮し、プロセスマイニングと出会う経緯ついて触れており、「業務」と「業務プロセス」の違いに始まり、改善を難しくさせる要因について整理している。プロセスマイニングを学ぶ契機に留まらず、改善を求む企業人に広く本書のご一読をおすすめしたい。