近年、AIの進化と活用は急速に拡大している。ビジネスの現場において、AIは黎明期を脱し“日常的なインフラ”へと移行されつつある。今日、大多数のビジネスパーソンが何らかのAIツールを業務に取り入れており、知識労働者の50%が定型タスクの自動化によって時間を節約している。しかしこれは、AIによる変革の片鱗に過ぎない。従来のchatbotや単純な自動化とは一線を画す「AIエージェント」の登場によって、新たな働き方にシフトすべき時期に差し掛かっている。
企業とビジネスの未来を俯瞰すれば、AIの有用性は明白であり、ビジネスパーソンに広く認知されていることだろう。より深化したAI活用を求める一方で“何から始めればよいかわからない”という現実的な疑問が立ちはだかる。日常業務に目を向ければ、社内情報はメール、CRM、ドキュメントなどに散在し、必要な情報を得るために多くの時間が浪費される。これらは、業種や職種を超えて、あらゆる組織に共通する課題といえる。また、AIエージェントを“エンジニアが構築する領域”とする誤った先入観も組織内に散見され、ビジネスの現場における踏み込んだAI活用を妨げる一因ともなっている。自身の業務とAIの接点が見えないままに、変革の潮流を唯々傍観しているビジネスパーソンも少なくはない。
本書「AIエージェントハンドブック」は、Google Cloudがビジネスユーザーに向けて編さんした、AIエージェント活用のための実践的なガイドである。エンタープライズデータの検索効率化、ドキュメントのポッドキャスト変換、アイデア生成、顧客対応のパーソナライズ、営業サイクルの短縮、HR業務の自動化など、10の具体的なユースケースを、課題・解決策・実際のプロンプト例・導入企業の事例とともに丁寧に解説している。収録されるVerizon、Deloitte、Nokiaなどの世界的企業の実績から、AIエージェントのビジネス成果が明示される。技術的な専門知識がなくとも、即行動に移せる精緻な展開をとり、AIによる企業競争時代において、確実な一歩を踏み出せる有用な一冊となっている。企業組織の実務層のみならず、経営層にも本書のご一読を強く推奨する。
