近年、企業をとりまく数多の状況は目まぐるしく変化しており、より効果的で速やかな改革の実行が企業組織に求められている。当然、“ヒト・モノ・カネ・情報”の経営資源を適切に管理・活用することが、企業の成長と競争力強化につながる。各所で提唱・実践される“企業改革”は企業の有効な投資に根ざしてはいるが、デジタルや情報への注力が目立ち“ヒト”への配慮がやや希薄な印象を受ける。
有能な人材の確保はますます難しくなってきており、採用に時間とカネを投入し、制度改革や働き方改善の施策を重ねても、なぜか社員の満足度は上がらない。離職率も下がらず、現場との温度差が埋まらない企業組織も散見される。いま、多くの企業が“従業員の声を聞いているつもり”になっているのではないだろうか。人事制度は経営方針の反映であると同時に、従業員との信頼関係の証といえるだろう。制度設計に声の反映が欠けていては、どんな改革も効果を発揮せず長続きもしない。声を拾い、実態を把握するために社内アンケートを実施しても、回答率が低く、現場のリアルな課題が見えないまま、制度だけが先行してしまう状況に陥ってはいないだろうか?
本書「人事の制度設計に欠かせない『従業員の声』」は、日立ソリューションズが提案する″従業員アンケートの新しいあり方″を実践的な視点から解説する。本書では企業調査を展開し、具体的な数値を掲げ、アンケート実施の現状と課題を詳らかにする。アンケートの回答が集まらず、制度設計に従業員の声を反映できない状況は、結果として従業員のエンゲージメントが低下していくだろう。従業員の声をどれだけ正確かつ効率的に収集できるかが、経営課題そのものになっているといえる。本書は、単なるアンケートツールの紹介にあらず「従業員の声」という本質に踏み込み、リマインダー設計や回答状況の可視化など、回答率向上のための具体的な施策を紹介する。さらに、本書で紹介する仕組みは、人事部門の社内アンケートだけではなく、年末調整やコンプライアンス教育など他の部門・目的でも活用できる。人事担当者のみならず“ヒト”に課題を感じる経営層・ITリーダーにとっても、本書のご一読を強くおすすめする。
