業種業界を問わず、企業成長を進める上でITシステムとインフラ整備の重要度は上昇傾向にある。今日の“IT戦略”を遂行するにあたり、キーを握るのはやはり「クラウド活用」にあるといえる。クラウドをいかに取り入れるかによって、日常業務効率・質の向上や、コスト削減、高拡張性、新ビジネスの創出などなど、よいことずくめであるのは読者諸氏も当然聞きおよんでいることだろう。
しかし総務省の調査によると、国内利用において「全体的にクラウドサービスを利用している」は29.1%(出所:平成30年版 情報通信白書 2017年データ)と、世界的なクラウド市場の盛況ぶりと比較すれば、かなり遅れているのが現状である。多くのクラウドが活性化しない企業では、「基幹システムも含むクラウド化はなんとなく不安」との意見が少なくはないようだ。不安の根源は、旧態依然のロジックで構築された基幹システムを使い続け、新たに手を加えることの恐れ、クラウド化作業に長時間奪われる人員・コスト・サービスの一時停止などのビジネスダメージを危惧してのことではないだろうか?
本書は、業界業種が異なる6社のクラウド成功事例を紹介する。それぞれの企業は固有の課題や、基幹システムに帰属するオンプレミスとの連携など、多種多様な事情を抱えつつも、問題を顕在化させ、計画的にクラウド化を推進させている。そして、クラウド導入後は明らかに大きな成果をあげている。レポートに際しては「導入の背景と狙い」「効果」と章立てられたわかりやすい共通構成で展開される。クラウド導入が進まない企業やクラウド活用をさらに広げたい多くの企業において、自社の現状との比較にも役立つ内容となっている。本書をご一読いただき、クラウドの「なんとなく不安」を払拭し、企業力向上にチャレンジしてみてはいかがだろうか。