業種業界問わず今日の企業活動を進める上で、快適なネットワーク環境の存在は欠かせない。果たす役割と領域は年々増しており、企業成長戦略を図る上で中核に位置するといっても過言ではない。

その一方で、BCP(事業継続計画)つまりはあらゆる「緊急事態下」においても、企業活動を継続し社員の生活と安全をも確保する責任も求められている。こちらも、同様にPC&IT領域の活用が必須となり、組織における指針・準備と実行する統制力が問われる。昨今の不測の事態において、テレワーク(在宅勤務)の実施状況は、企業力を測るひとつの指標といえるだろう。“指針”なき企業は論外ではあるが“準備”不足の多くは、技術的な要因が認められる。大半は、在宅におけるリモートワーク時に社員数に応じた入口の広さ、つまりインターネット回線の「帯域」が確保できないことにある。リモートアクセス環境下でファイルサーバへのアクセスやアプリの操作・動作に違和感や遅延を感じていたのならば「帯域不足」を疑うべきだろう。業務のデジタル化を推進する上で、種々のクラウド化やOffice 365・各種SaaS(Software as a Service)にシフトすることは当然だが、オフィスで通常利用される通信量も増加しているのだ。

本書は、帯域不足の課題解決における回線選定時に有用な情報を提供する。帯域不足における対処法は回線を“太くする”ことと考えがちだが、“太くする”の意味を再度確認していただきたい。BCPを念頭に帯域を求めるのであれば、正しい知識と理解をもって選定する必要があり、単純に帯域とコストだけを見て選定してしまえば、多くの対策で実行力を失う可能が高いからだ。意外と見落としがちな点を本書ではわかりやすく解説する。さらなる企業成長を目指す企業はもとより、テレワーク実施に苦慮する企業においても改善の契機として、本書のご活用を強くおすすめする。