政府主導による「働き方改革」が提唱されて久しく、オリンピック開催期間の混雑緩和を目的として企業参加型の「テレワーク・デイズ」も2017年より実施されている。にもかかわらず巷での認知や企業におけるテレワークへの取り組みは局地的であったように思われた。しかし現在のコロナ禍においては、多くの企業がテレワークを実行せざるを得ない状況にある。

火急を要したテレワーク実行から、不具合・不満やセキュリティに関わる不安を抱えつつ「場当たり的」な運用に陥っている企業の声も多く聞こえてくる。ゆっくりと終息に向かいつつある今日だが、いわゆる「アフターコロナ」を見据えた「新しい生活様式」では、企業活動をコロナ前と同様に進められる可能性は皆無だ。勤務形態は出社とテレワークのバランスを計りながら運用される可能性が高く、いうならば、世界規模でオフィスワークの概念が大きく変化し、働き方の根底が「テレワーク主軸」にシフトしていくと予想される。そこで今こそ、テレワーク環境をしっかりと見直すべきではないだろうか?

執務場所の制約から解放されるテレワークにおいては使用デバイスの管理が重要となる。その中でもほぼ全社員が対象となる「モバイル端末」の管理において、セキュリティを強固にするほど利便性が損なわれ、ひいては生産性自体も低下することから、慎重に対応する企業は多い。本書では、テレワーク環境整備のアプローチ方法を解説するとともに、デバイス管理の最適解としてMAM(Mobile Application Management)を提唱し、データをデバイス側に残さない「セキュアMAM」によるセキュリティと利便性の両立を推奨する。

テレワークの充実はやがてオフィスワークとの境界線を壊していくことだろう、世界規模での“働き方”の岐路に差し掛かった今こそ、多くのビジネスパーソンにご一読いただきたい内容となっている。