今日、多くの企業が活動する上で“開発”を必要としている。開発というと製造業などに限定したイメージが強いが、業種業界問わずビジネス成長とデジタルテクノロジーの関わりは分かち難く、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の潮流を受けて躍進著しいRPA等のデジタル活用・導入にはカスタマイズや改善が欠かせず、広義での開発にほかならない。読者諸氏の企業においてもさまざまな規模で日々実施されていることであろう。

物理的なものづくりの現場以外での開発の広がりから、近年ではプロジェクト管理を重要視する傾向がデジタルに活路を求む企業の間で開発は活性化している。プロジェクト管理はIT黎明期からソフトウェア開発の現場で活用され、初期はプロジェクトマネジャーの属人的な能力に委ねられていた。プロジェクト管理の状況を鑑みプロジェクトマネジメント協会(PMI)は、広く適用できるプロジェクトマネジメントの情報や実践方法の文書化と標準化を目的として1996年に「広く適応できるプロジェクトマネジメント」を目的としたPMBOKガイド(Project Management Body of Knowledge)第一版を発行した。PMBOKガイドを契機として以降、アジャイル開発の手法などは広く知られるようになってきた。喜ばしいことに今日ではプロジェクト管理を支援する各種ツールも充実し、Excelでのプロジェクト管理は過去のものとなった。しかし多機能や拡張性を有するツールが多く、使いこなしにはある程度の習熟を必要とし、特にマネジャーは正しい理解が求められる。

本書は、プロジェクト管理ツールとして世界的にもメジャーなJiraを用いたビジネスプロジェクト管理を解説する。Jiraの基本的な機能となる、権限管理、ワークフロー設定、画面とフィールドのカスタマイズ、通知機能について実際の画面キャプチャーを交えた手順でわかりやすく展開する。本書で触れられるJira Software、Jira Core、Jira Service Managementは1~10ユーザーまで無料で利用できるので、共同作業における業務遂行にストレスを感じる読者諸氏は本書をご一読いただきチャレンジすれば、アジャイルの意味する「俊敏」を体感できるだろう。ぜひお試しいただきたい。