ビジネスとデジタルが表裏一体となって久しい。ITサービスを安定的に供給し、顧客や従業員に優れたエクスペリエンスを届けることこそが、成長の礎であることを多くが実感している。いかに合理的かつ効果的に対処するか──。その文脈で、あらためて重要性が再認識されているのが、経験に裏打ちされた体系的な管理手法であるITSM(ITサービスマネジメント)やITOM(ITオペレーションマネジメント)だ。

 

もっとも、最近では提供するサービスが桁違いに増え、それを支えるシステム基盤も複雑化に拍車がかかっている。インシデント等への対応のために人員や手動プロセスの規模を拡大することは限界を迎えており、その打開策として期待を集めているのがAIエージェントや生成AIといった最新テクノロジーの巧みな利活用だ。

 

その最前線を紹介しているのが本書である。ITSMやITOMなど常にプレッシャーにさらされている現場の実務において、AIがどのような価値を発揮してくれるのかを分かりやすく解説している。慢性的な人手不足の中でサービス品質を極めることが使命となっているIT部門のリーダーに是非、手に取ってもらいたい。