不正アクセスやユーザー個人情報漏洩など、セキュリティにまつわるニュースをひんぱんに目にする。デジタルテクノロジーの進歩とともに新価値が創造され、多くの製品・サービスを展開し、企業も規模や形態を問わずその進歩の恩恵を享受しているといえる。しかし、進歩の裏にはそれ以上の速さで“悪意”も常に進歩しており、企業が守るべき項目は以前よりも大幅に増えている。

そして企業のデジタル活用領域が増えていくなかで、業務効率向上を目的にBI(Business Intelligence)、AI(Artificial Intelligence)の活用が広まってきた。自動化が進み、その潮流で注目されるのが“仮想知的労働者”とも評されるRPA(Robotic Process Automation)だ。RPAはホワイトカラーの生産性を向上させ、業務形態までも刷新するほどのインパクトを有しているが、「Botが事前に設定された実行手順に従って動作する」以外に、「実務的な使い勝手」や「セキュリティ」などの情報が貧しい状況ではないだろうか? セキュリティは企業の生命線であり、「RPAを導入したいがセキュリティ・レベルは担保されるのか?」や「セキュリティを重視すると使い勝手が落ちるのでは?」などの疑問が出てくるのも、ごく自然なことといえる。

本書は、RPAをエンタープライズレベルで利用するためのセキュリティについて解説する。RPAのプラットフォームに関してもパブリッククラウドでの活用が進んでいる現状ではあるが、シングルサインオンだけでなく、データ保護はもとより高度な暗号化などを有しているため、堅牢な環境を築くことができる。また、ロールベースで細かな設定が可能なアクセス制御/管理、ロギング/モニタリング、脆弱性の排除、災害などが発生した際の回復に至るまで広く対応する。「業務効率か? セキュリティか?」二者択一に悩む必要はない。今以上に生産性が向上するだけでなく、セキュリティ面も十二分に高めることができる。RPAの導入を検討している企業だけでなく、業務改善や生産性向上を目指す多くのビジネスパーソンにも、広くオススメできる内容となっている。