近年、企業のIT活用においてクラウドは、業種業界を問わず大いなるインパクトをもって広く受け入れられている。「クラウド活用が企業の……」などの、見出しが各所で展開され、クラウドへの理解や導入が進み、パブリッククラウドの利用は企業インフラの日常的な景色となりつつある。
しかし、多くの利便性を手に入れた代わりに、ランニングコストの高騰や運用管理の複雑化に苦慮する声も聞かれる。その要因の多くは、サーバー、iSCSI(Internet Small Computer System Interface)・SAN(Storage Area Network)などのスイッチ、外部ストレージの3層の構造で運用されていることにほかならない。さらにレガシー・システムとの連携が“足かせ”となり、監視・障害ポイントの複雑化が慎重さと時間を要し、全景の把握の難しさを招く。場合によってはIT部門の一部のエンジニアしか現状を把握できない“属人化”に至ってしまうケースも多い。「安全・安定」を担保するには、人と時間と費用の3つの投資が欠かせない。
そのような現状を打開すべく開発されたのが「ハイパーコンバージドインフラストラクチャー」(以下:HCI)だ。本書は、「ハイパーコンバージドインフラストラクチャー完全ガイド」と題し、最大手Web企業で実践されてきたHCIを、あらゆる規模の企業にも導入できるガイドとして解説する。これにより従来のインフラとパブリッククラウドのギャップを埋めるだけでなく、管理・運営についても“複雑さ”から大幅に解放される。本来あるべきビジネスを基軸に回るインフラが実現される。クラウド運用に苦慮する企業だけでなく、よりビジネスに強いIT基盤を模索するIT部門にとって必読の内容となっている。