近年のビジネスではソフトウエアエンジニアリングが欠かせない。ソフトウエアを外部に提供するビジネスを展開し直接利益を得るばかりでなく、グループ企業や社内向けに提供し直接的な金銭は派生しない場合でも、生産性向上や素早い意思決定への貢献など企業に多くの利益を創出している。

 

企業のビジネスを左右する側面を担うソフトウエアエンジニアリングだが、当然速さも求められることも多くなってきている。巷では速さばかりが議論される感もあるが、ソフトウエアエンジニアリングはざっくりと開発の効率化だけを謳っていても、本質が効率的になるほど単純ではない。主流であったウォーターフォールモデルによる開発から、より俊敏性を求むアジャイル開発が広く受け入れられ、細分化された開発手法も確立されて居るが反復や往来の方法論の違いこそあれども、計画、コード、テスト、リリース、オペレーションの5つのプロセスは確実に存在する。5つのプロセスはいずれも重要度は等しく重いすべてのプロセスに渡る効率化を浸透させることこそ速さと質を備え、さらに信頼性と改善へと繋がるソフトウエアエンジニアリングの真の効率化を実現する要素となるのではないだろうか?

 

本書は、ソフトウエアエンジニアリングにおけるSlackの活用法について解説する。技術開発を伴わない一般業務にも利用する企業も増え身近な存在となったSlackであるが、その成り立ちをマルチプレイヤー型ゲームを開発するソフトウエアエンジニアチームが「自分達をユーザーとして『デザイン』だけにとらわれず、無心で開発に取り組んだ」と本書で記している。その成り立ちから、専門性の高い業務であるソフトウエアエンジニアリングに特にSlackが適している。導入メリットだけでなく計画、コード、テスト、リリース、オペレーションの5つのプロセスについての具体的な活用方法を展開し、Slackの特長でもある拡張性やJenkinsをSlackと連携させる自動化活用などトレンドも踏まえた内容となっている。ソフトウエアエンジニアリングの業務は常に複雑であり、コラボレーションとコミュニケーションなどに緻密さも要求される。開発チームであれば本書をご一読いただきたい。より効率的な活用方法を追求する上でも、Slackによる効率化の同心円を他業務の拡張させていく活動にも活用できる。また技術部門以外のSlackユーザーやSlack未体験なユーザにも、Slackはそれぞれの業務に有機的に適応するので、最も複雑でSlackに適したソフトウエアエンジニアリング分野の活用例に学ぶ点も多いことと思われる。業種業界問わずに分散型ワークの需要が高まる中、多くのビジネスパーソンに本書のご一読を推奨するとともに、同社の推奨する「はたらき場所改革」を摸索してみてはいかがだろうか。