企業組織に会議は欠かせない。社員の個性や能力を引き出し、各種戦略や経営方針などが創出される企業活動の原動力とも言える場でもあり、日本中世界中の企業内で通常業務の一環として会議が日々数多く実施されているが、読者諸氏の中に会議を好む方はおられるだろうか?

 

業務効率化や働き方改革が提唱されて久しいが、以前より“会議の多い会社に成長ナシ”などと揶揄されるように、とかく会議は煙たがられるような節もある。しかし会議が企業改革の阻害要因と問えば、答えはノーと断言できる。多くの企業がリモートワークにシフトしてしている今日では、生産性とインフラ環境などは火急の課題となり、業務スタイルの多様化から潜在していた各種の非効率や脆弱性も表面化されることとなった。会議はそれ以上に、オンラインならでのIT機器の使いこなしという新たなファクターも加わり、社員のストレスレベルの悪化も懸念される。また社員の幸福度の低下は、組織の存続にも暗雲が垂れ込める。排除すべきは無意義で非効率な会議であり、変化がはげしく先行き不透明な今こそ会議をイノベーションの源泉として機能させる気運が高まっているといえる。

 

本書は「ITが会議に重要性を与えるための10の方法」と題し、会議を適切に運用する方策を公開する。ロジクールが学者やビジネスリーダーなどの様々な分野の専門家集めた会議の実証から導き出された「有意義な会議を実施するための10のシンプルなルール」に基づき、近年の必須要素である「ITのポイント」を各項目に付加するかたちで展開する内容となっている。一部項目を抜粋すると、「目的を持って会議を行う」と至極あたりまえのことを指摘しているように思われるが、離職率や売上など企業におよぼされた具体的な効果について論文・レポートからの数値を掲げ深く言及している。いずれも非常に明確で多くの企業に適応し実践可能なものとなっている。より健全な企業成長を目指すならば、本書をご一読いただき、会議に対する意識改革から取り組むことをおすすめする。