企業体である以上、ビジネスは常に団体戦であり総力戦だ。優秀な人材、潤沢な予算、優良な情報が備わった組織であっても、必ずしも高い競争力が発揮されるわけではない。人が集い協調することによって経営資源を活用し、ビジネスは前進する。
 
企業内の個人と個人の協調、つまりは組織の改善は従来から言われている。企業内の派閥などは今や前時代的なものとなってきているが、現代の企業においても部署ごとの縦割りや役職・部門などやはり“壁”はいたるところに存在している。近年はコロナ禍に端を発するリモートワークの導入によって社員同士のコミュニケーションに課題を感じる声も多く、見えないことで生じる“壁”がより加速することも少なくない。しかしコロナ禍の大きな変化は、オフィスに出向き机を並べ業務に取り組むという綿々と続いた企業組織のあり方を短期間で転換させた。環境の変化を好機と捉え組織改変・企業改変にいかに結びつけるかが、これからの企業競争力を左右するだろう。
 

とは言え、企業文化として長年居座り続けた“壁”を取り去るのは容易ではなく、指針や方策を見出すのは難しい。本書「さよなら組織の壁」では、コラボレーションが生まれる組織のあり方を示し、進化の促進要素を提示する。一般的に“風通しの良い”と評される社風を有す企業はプロジェクトにおいても高い競争力を発揮してきた。社内のコミュニケーションの重要さは誰もが知るところだが、出社や対面に回帰すれば向上されるわけでもなく、何より今日的ではない。本書では「オープン」と「ハイブリッド」をキーワードに掲げ、組織とコミュニケーションの課題解決を展開する。特に経験・知見について言及される「暗黙知」「形式知」については組織の存在意義を構造的に理解できる内容となっている。また、具体的な実践としてSlackを俎上に載せ、2社の改善事例を収録する。組織が変われば企業も進化する。経営判断や個人の取り組みで変化を起こしていくためにも、先ずは本書をご一読いただき広く社内に共有することから始めてはいかがだろうか。